奈良教育大学附属中学校 様

火星探査のシミュレーションを通して、火星環境、ロボット技術を学習させる。


ご担当

福田 哲也 先生

対象科目

中学3年生対象、選択理科「マーズローバー・プロジェクト」
奈良教育大学附属中学校科学部

利用教材

・教育用レゴ マインドストーム
・ROBOLAB V1.5

テーマ

火星探査のシミュレーションを通して、火星環境、ロボット技術を学習させることを目的としている

内容

火星探査機のモデルの製作を通じて生徒の創造力および思考力の育成、基本的なプログラミングの技術を生徒に身につけさせるものづくりの基本的な活動をとりいれるために、何度もつくりなおせるような頭脳ブロック(ロボラボ)を使用した。 起動力や形状を考えながら、悪路をのりこえるローバーをつくる。

コンピュータを使って、ローバーの動きを制御するプログラムを考える。

タッチセンサーや光センサーなどの探知機を使って、ローバーの動きを制御する。

班でおこなう協同的な学習を通して、互いの予想や意見をもとに理解や考えを深める。

本学習における授業計画(全12時間)

1,オリエンテーション・・・1時間
2,悪路をのりこえるローバーをつくろう・・・2時間
3,ローバーの動きを制御しよう・・・3時間
4,迷路をぬけるローバーをつくろう・・・4時間
5,トラックを速くはしるローバーをつくろう・・・3時間)
6,まとめ(ふりかえり)・・・2時間
※5については、学校行事により実施できず

本学習においてのおもな学習効果

・ギアの組み合わせ、駆動力の伝達などの基本的なロボット技術の学習だけでなく、ミッションを遂行するための形状の工夫や課題の克服の過程において創造力の育成にもつながった。
・探査機のミッション遂行のための動きをさせる過程において、基本的なプログラミングの技術を生徒に身につけさせることができた。

その他活動

2007FLL(ファーストレゴリーグ)全国大会優勝
2007WRO世界大会 中学生部門 優秀賞

世界タイトル受賞までの軌跡(2006WRO世界大会 中国・南寧)

 WRO(ワールド・ロボット・オリンピアード)には、ロボット技術に長けている栄長宏政(中3)、プログラミングに長けている松田貴大(中2)とともに参加した。日本大会以後、風船を割るシステムの製作やロボットの最終調整をおこない、準備万端。ただ、ロボットの調子は万全であったが、心配なことが1つあった。最終ルールである。WROでは、最終ルールを試合前日の夜に発表される。つまり、そのようなルール変更にも対応する能力も試されているのだ。ルール会議では、コースの草地、山、橋の場所自体を明日の試合の直前に籤によって決定すると発表された。まさかコース自体が変更されるとは、予想だにしなかったので、そのときの戸惑いは大きかった。しかも、現地点で、どのようなコースになるかもわからない。深夜遅くまで対応しようとしたが、焦りと動揺の中で、今までの積み重ねてきたものが、ガタガタと崩れていくのが見えた。

 試合当日。昨日からの厳しい状況は全く変わっていない。「やれるだけやるしかない」と生徒を励ますしかなかった。午前10時に最終コースが籤により発表。山からはじまり、草地、橋、給油ステーション、風船とコースが決められた。そして、各国の代表チームが一斉にロボットとプログラムの製作をはじめる。時間は1時間30分。栄長は、ロボットを20分で仕上げた。松田が対応するようにプログラムを組む。コースのプログラムの訂正、センサー値の確認、まわりの壁への対応、・・・・やることはいくらでもあった。さらに練習すればするほど、電池も消耗する。電池を替えると、プログラムも変えなければならないので、多少パワーは落ちていたが、電池を替えずに試合に臨んだ。

 そして、試合。ロボットはシートに描かれた線をきちんとたどっていく。山を越え、草地を通り越し、コーナーできちんと方向転換をし、進んでいく。そして、橋へ。デコボコの橋をスムーズに乗り越え、給油ステーションでランプもつけた。後は、風船。スタートしてからゴールまで、40秒足らずの時間であったが、非常に長く感じたのは、生徒たちも同じであろう。風船を割った瞬間、うれしい気持ちよりも、ホッとした気分になったのは私だけだろうか。210ポイントを獲得した。 結局、風船を割ったチームは、10チームほどしかなった。各国の代表チームですら、なかなかクリアできないということは、このコースがいかに難しいかということをわかってもらえるだろう。しかし、ロボットは、電池切れ寸前で、スピードもなかったので、この地点での入賞はあきらめていた。ただただ、ゴールまでたどり着いたことで満足していた。

 次の日の表彰式。まず優秀賞が発表された。残念ながら、私たちのチームの名前はなかった。8位以内には入るかもしれないと思っていたので、落胆していた。そのとき、3位の発表があった。「RJ17Nara Education University JHS from JAPAN!」3人とも状況が読めなかった。何かの間違いであると思った。しかし、まわりのみんなが拍手をしている。遠くに座っている本部の方が、ステージに上がるように私たちを手招きしている。まさかの3位であった。数分後、栄長と松田と私の首には、銅メダルが輝いていた。WROは3年目になるが、日本チームがお立ち台に上がったことは、はじめてのことであるらしい。一昨晩の状況を考えると、まさに奇跡の受賞であった。

(記 日本代表チーム【奈良教育大学附属中学校】コーチ 福田哲也 23th,Nov,2006)

コメント(児童・生徒の感想 一部)

 プログラムのつくりかたがわかってよかった。また、ローバーが最後にゴールをすることができて、とてもうれしかった。迷路をぬけるプログラムは、たいへんだったけれど、やりがいがあって、楽しかった。

 ローバーの製作に慣れてくると、何を変えればよいのか?どう改良すればよいのか?ということがわかるようになった。それだけに最後のレベル3までいけなかったのが悔しい。でも、結果的にはとてもおもしろかった。

 練習ではうまくいけたのに、本番ではいけなかったので悔しかったです。しかし、本当の宇宙探査においても、失敗はゆるされないので、その厳しさを痛感しました。1つ1つのブロックであんなローバーになるなんて、びっくりしています。また、プログラムを入れるときの操作はとても難しかったけれど、やりがいがあって良かったです。ローバー最高!
本活動に関わった生徒は、決して能力のある生徒ばかりではない。しかし、「なぜ?」「どうしたら上手く動くか?」「もっと、したい」という生徒たちの気持ちを追求したことが、このような大きな成果につながったと考える。この活動において、教師は支援する立場に徹し、メンター的な役割を果たしていただけである。それが、逆に生徒たちの可能性を大きくのばす要因にもつながっていると感じている。また、「火星」「国際交流」「ロボット」「IT技術」という社会でも注目されている内容と関連づけて取り組んだことも、生徒たちの学習意欲を高めた。

 当初、「火星探査」ではじめた活動であったが、新しいテーマを設定し、年々活動が発展していていることは理解いただけるであろう。とくに2005年からの「ロボット」をテーマにした取り組みは、内外から大きな反響を生んでいる。実際にFLLならびにWROにおいてタイトルを獲得したチームは、日本にはなく、ましてや両大会でのタイトルを獲得したチームは世界でも類をみないからである。もちろん、簡単にこのようなロボットに関わるスキルを生徒が身につけることは不可能である。つまり、本校で培ってきたMTPの教育実践がこのような大きな成果をあげたと考えられる。

 このようなロボットを通した教育が今後大きく注目を浴びることを期待するとともに、奈良から新しいロボット教育の風を発信できればと考えている。

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科学の祭典
火星探査のワークショップ
選択理科でのローバープロジェクト
 2006 WRO日本大会

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